立山開山に関するお話(小学生用)

立山開山に関するお話

3 佐伯有頼の誕生

有若 ありわか の努力によって、 越中 えっちゅう の国は以前のような争い事はなくなり、 人々は安心 して農作業に せい を出すようになり、 しだいに平和で ゆた かな国になっていきました。
しかし、 有若 ありわか の心には、 いつも満たされない大きな なや みがありました。 それは、 後継 あとつ ぎの 子供 こども がいないことでした。
ある夜、 有若夫婦 ありわかふうふ 枕元 まくらもと に、立山の 大汝 おおなんじ の神様が あらわ れ、
「お前たちに、男の子をさずけよう。
有頼 ありより と名付け、大事に育てよ」
とお告げになりました。 それから一年後、お告げの通り丸々とした男の子が生まれました。もちろん、国中の人たちも大喜びで、神の子として大事に育てられました。
有頼 ありより は、 みんなの期待通り、 すくすくと成長し、 たくましい少年になっていきました。
たいそう 体質 たいしつ が強く、いつも勇ましい遊びをし、その上、父母にも まこと によく 孝行 こうこう をいたしました。 そして、 有頼 ありより も、白い たか をたいそうかわいがり、 たか と遊ぶことが大好きでした。

4 逃げた白い鷹

有頼少年が16歳になった春のことです。
有頼少年は、 父の大切にしている白い鷹を、 飼育係の家来がとめるのを振り切り、 無理やり借り受け、 喜び勇んで、 一人で鷹狩りに出かけました。
いつも父がやっているように、左手のこぶしに白い鷹をすえ、弓矢を背に、 獲物えもの を探して草や雑木をかき分け、川上へ川上へと進んでいきました。
けれども、どうしたことか、獲物らしいものは何一つ見あたりません。有頼少年はがっかりして、一休みしようと、かたわらの石に腰を下ろしました。
と、そのとき、それまでじっとしていた鷹が突然飛び立って、大空高く、矢のように突き進んで行きました。
有頼少年はびっくりして、後を追いかけました。はじめは上空に を描いて飛んでいましたがそのうち、山手の方へ進み、峰の空を回りながらするどく鳴きました。 《 高峰山 たかみねやま の方面》
有頼少年は、 鷹のえさを振りかざしながら大声で呼び、 舞い降りてくるのを待ちました。
しかし、 いくら経っても鷹は戻ってきません。 そのうちに姿が見えなくなってしまいました。
さあ大変です。 父の大事な白い鷹を逃がした有頼少年は、 城に帰ると父にしかられるに決まっています。 それとて鷹と同じにどこかへ逃げて行くわけにもまいりませんから、 有頼少年は泣き泣き城に帰りまして、
「白い鷹は、 獲物を捕らずに、 どこかに逃げてしまいました。 私が油断をしていたせいですからどうかかんにんしてください」
と、 色々お詫びをいたしましたが、 父はたいそう腹を立てて、
「あんな立派な鷹は、 二度と私の手に入ることがないから、 お前はどうあってもあの鷹を捜してきなさい。 そうしなければ、 城に帰ってはならぬ」
と、 厳しくしかりました。



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