立山開山に関するお話（小学生用）

日本の名山として世界に名高い、わが越中の立山へは、だれが初めて登ったでしょうか。
かの高い険しい山の上まで道をつけて、頂上に社を造って帰ったのは、そもそも何という人でしょうか。そのお話をこれからいたします。

昔々のその昔、今から約1300年 余 あま り前の昔、今の立山町が、 常願寺川 じょうがんじがわ の 氾濫 はんらん の繰り返しで、石ころと雑木の生いしげった荒れ野原だったころのことです。
人々は平で水の便のよい土地を選んで住みつき、細々と田畑を耕して、苦しい生活を送っていました。
時の 天皇 てんのう 、 文武 もんむ 天皇は、ある夜、不思議な夢をご覧になりました。その夢には、 阿弥陀 あみだ 如来 にょらい 様が 現 あらわ れて、 天皇 てんのう に言われるには、「今、 越中 えっちゅう の国は、人々の争いが 絶 た えず、苦しい生活をしている。 近江 おうみ の国（ 現在 げんざい の 滋賀県 しがけん ）におる 四条 しじょう 大納言 だいなごん の 佐伯 さえき 有若 ありわか を国守にして治めさせれば、必ず、平和で 豊 ゆた かな国になるだろう」ということでしたから、さっそく 天皇 てんのう は、 有若 ありわか を 呼 よ び 出 だ しになり、すぐに、越中国におもむき、国を治めるように命じられました。
そこで 佐伯 さえき 有若 ありわか は、一族を引き連れ、 近江 おうみ の国の 志賀 しが （ 現在 げんざい の 志賀 しが 県）を出発し、 越中 えっちゅう の国へ向かいました。
何日も何日も歩いて、ようやく 倶利伽羅峠 くりからとうげ までやってきました。 「やれやれ、ここを 越 こ えれば 越中 えっちゅう だ」
とほっと一息ついていると、どこからか、一羽の白い 鷹 たか がまいおりて、 有若 ありわか の 肩 かた にとまりました。 有若 ありわか は、「これは、きっと何かよいことがある前ぶれにちがいない」
と大変喜び、「白羽の 鷹 たか 」と名付け、大切に育てることにしました。≪ 倶利伽羅峠 くりからとうげ ≫
有若 ありわか は、 下新川郡 しもにいかわぐん の 布施川 ふせかわ のほとりにある犬山（ 現在 げんざい の 黒部市犬山 くろべしいぬやま ）に館（ 城 しろ ：役所）を建て、 一生懸命 いっしょうけんめい に国を治めました。そして、仕事のあい間には、この白い 鷹 たか を連れて、野山へ 狩 か りに出かけることを何よりの楽しみにしていました。（東 布施 ふせ ： 黒部市 くろべし 、 西布施 にしふせ ： 魚津市 うおづし ）≪黒部市　大山の立山神社辺りか？≫