立山開山に関するお話(小学生用)

立山開山に関するお話

7 合掌がっしょう念仏ねんぶつ

しばらくして息を吹き返した有頼の体は、寒さと疲れと空腹で、思うように動きませんでした。
辺りにはまだ雪が残っていましたが、岩かげに芽生えている青草をとって食べ ると、不思議や、体中に力がみなぎり元気を取り戻しました。 《草生坂くさおいさか藤橋ふじばしから千寿ヶ原せんじゅがはらあたりの坂?》
「にくい熊め、追いつめずにおくものか」
有頼は立ち上がり、固い 雪渓 せっけい みしめ、 岩壁 がんぺき を伝い、 くま の血のあとをたどっ て山坂を登りました。
歯をくいしばり、いくつかの坂を えたとき、にわかに辺りが真っ暗になり、 稲妻 いなずま がひらめき 雷鳴 らいめい がとどろき、 突然 とつぜん うなり声をあげた 雷獣 らいじゅう 暗闇 くらやみ から おそ いか かってきました。
すかさず、有頼は、刀を いて切りつけると、たしかに 手応 てごた えがあり、急に周りが明るくなり 雷鳴 らいめい もおさまりました。
断裁坂 だんざいざか :美女平から 滝見台 たきみだい の間にある坂》
有頼はさらに、 けわ しい山坂をはうように登っていきましたが、ついに力がつき、動けなくなりました。
その時です。どこからともなく、 大勢 おおぜい 仏様 ほとけさま 合掌 がっしょう 念仏 ねんぶつ を唱えている声が聞こえてきました。
それをじっと聞いていると、 つか れもなおり、その けわ しい坂を、やすやすと登り めることができました。《 仮安坂 かりやすさか 断裁坂 だんざいさか の上の方の坂》
登り切った坂の 眼前には、雲上から落下する 荘厳 そうごん 大滝 おおたき 称名滝 しょうみょうだき )が ひか かがや いていました。
天から落ちてくるその たき の神々しさに、思わず地にひれ して 礼拝 れいはい 伏拝 ふくはい )しました。《 称名滝 しょうみょうだき 滝見台 たきみだい 辺り》
命がけの、苦しい、そして おそ ろしい出来事が次々に起こり、さすがの有頼も、この先またどんなことが起きるのか、不安になってきました。しかし、ここで引き返してなるものか。 なんとしても 大熊 おおくま を追いつめなくては」
と心に決め、またもや大きな 岩肌 いわはだ をはい上がり、急な 雪渓 せっけい みしめ、立ちふさがる、はい松の えだ をおしはらいながら進み、いつのまにか立山の 頂上間近 ちょうじょうまぢか 雲上うんじょうの高原に立っていました。《 室堂 むろどう 辺りか?》



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