立山開山に関するお話
6 大熊を追って
「あっ、いたぞ」
やっと見つけた白い鷹のそばへ大喜びで駆け寄り、腰からうまいえさを取り出し、 「鷹こおい鷹来い、おいしいおいしいえさをやろう」
と何度も呼びますと、白い鷹はじっと有頼少年の方を見て おりましたが、たちまち飛んできて、有頼の手の上にとまりました。
「おっ、よく来てくれた。私はどんなにお前を捜したろ う。お父様も心配しておられる。よく来てくれた」
と、有頼はしきりにうれしがって、白 い羽をなでたり、頭をなでたりします と、應は羽ばたきながら、これもまこ とにうれしそうにしました。
ところが、運の悪いことに、ちょう どそのとき、かたわらの草原にガサガ サと音がしたかと思うと、
「ガオーッツ!」
と、大きな黒い熊が飛び出して来まし た。驚いた應は、羽ばたきをしながら、 またまた空高く舞い上がり、どこかへ 逃げてしまいました。
有頼のそのときの悔しさは、どんな でありましたでしょうか。
「おのれ、許しておくものか!」 と、持っていた弓に、素早く矢をつがえ、大きく引 き絞 り
、黒熊の
胸元
をめがけ
て放ちますと、ねらい違わず、矢は黒熊の左の胸にビシッと深く突き刺さりまし
た。
ドッシーン。黒熊は一度は倒れたものの、さすが大熊、すぐに跳ね起き、血を 流しながら山奥めがけて逃げ出してしまいました。《横矢 :立山町横江 》
「逃がしてなるものか」
有頼は、熊の血のあとをたどり、険しい岩をよじ登りながら追いかけましたが、 なにぶん、けもののことですから、見る間に姿が見えなくなりました。《血 懸 :
立山町千垣 》
「このまま逃がしてなるものか」
と、さらに追いかけていきますと、芦 の生い茂 った原っぱにでました。《立山町
芦峅寺 》
有頼は、どんどん進んでいきました。どれだけ進んだのでしょう。あたりはますます険しくなってきました。
「ああ、これは、どうすればいいのだろう」
目の前は、深い深い谷で、向こう側には行けそうにありません。
思案 にくれていると、どこからともなく数十匹のサルが集まり、藤
のつるを持ち寄って、みるみるうちに架け橋を造り、またたく間に姿を消してしまいました。
あっけにとられて成り行きを見ていた有頼は、気を取り直し、その橋を渡り、 奥山へ進もうとしました。
すると今度は、金色の大シカが現れ、前に立ちはだかり、行く手をさえぎりました。
「じゃま立てするな」
気の強い有頼は、刀を抜いてその大シカに立ち向かい、うち倒そうとしました が、大シカの気に当てられ、その場に倒れてしまいました。《立山町藤橋 》
やっと見つけた白い鷹のそばへ大喜びで駆け寄り、腰からうまいえさを取り出し、 「鷹こおい鷹来い、おいしいおいしいえさをやろう」
と何度も呼びますと、白い鷹はじっと有頼少年の方を見て おりましたが、たちまち飛んできて、有頼の手の上にとまりました。
「おっ、よく来てくれた。私はどんなにお前を捜したろ う。お父様も心配しておられる。よく来てくれた」
と、有頼はしきりにうれしがって、白 い羽をなでたり、頭をなでたりします と、應は羽ばたきながら、これもまこ とにうれしそうにしました。
ところが、運の悪いことに、ちょう どそのとき、かたわらの草原にガサガ サと音がしたかと思うと、
「ガオーッツ!」
と、大きな黒い熊が飛び出して来まし た。驚いた應は、羽ばたきをしながら、 またまた空高く舞い上がり、どこかへ 逃げてしまいました。
有頼のそのときの悔しさは、どんな でありましたでしょうか。
「おのれ、許しておくものか!」 と、持っていた弓に、素早く矢をつがえ、大きく
ドッシーン。黒熊は一度は倒れたものの、さすが大熊、すぐに跳ね起き、血を 流しながら山奥めがけて逃げ出してしまいました。《
「逃がしてなるものか」
有頼は、熊の血のあとをたどり、険しい岩をよじ登りながら追いかけましたが、 なにぶん、けもののことですから、見る間に姿が見えなくなりました。《
「このまま逃がしてなるものか」
と、さらに追いかけていきますと、
有頼は、どんどん進んでいきました。どれだけ進んだのでしょう。あたりはますます険しくなってきました。
「ああ、これは、どうすればいいのだろう」
目の前は、深い深い谷で、向こう側には行けそうにありません。
あっけにとられて成り行きを見ていた有頼は、気を取り直し、その橋を渡り、 奥山へ進もうとしました。
すると今度は、金色の大シカが現れ、前に立ちはだかり、行く手をさえぎりました。
「じゃま立てするな」
気の強い有頼は、刀を抜いてその大シカに立ち向かい、うち倒そうとしました が、大シカの気に当てられ、その場に倒れてしまいました。《立山町
