立山開山伝説
成人
儀礼
としての立山登山
(1) 大人になることは、 生まれかわること
子どもがすこやかに成長することは、 昔も今も変わらぬ親の願いです。 その昔、
子どもの成長は、 親だけでなく、
地域
社会にとっても最大の関心事でした。
地域
社会を
維持
していくためには、
若者
の働きが必要だったからです。 そのため、それぞれの
地域
で、
若者
が
一人前
になったと
確認
できるような
儀式
、 すなわち成人式を
工夫
してきました。 昔の親にとっては、 成人式を無事終えることが大きな願いでした。
一方、昔の人は、 赤ちゃんが母の体内にこもって力をたくわえてから生まれてくる
ように、
大人
になるときも、
神霊
が宿る場所でしばらくこもって、
霊魂
をたくましい ものに生まれかわらせることが必要だと考えていました。
(2) 登山の
意義
古くから山は神
霊
が宿り、 人間の
霊魂
を
再生
させるにふさわしい場所だと考えられ
てきました。
大人
になるための試練として
若者
に登山をさせる風習は、 全国にありま
した。 特に、
修験道
の
修行
場となってきた
霊山
で
盛
んに行われてきまた。 例えば、
富山
の立山をはじめ、青森の岩木山、山形の月山・羽黒山・
湯殿山
、石川の白山、
奈良
の
大峯山
、 四国の
石鎚山
などが知られています。 これらの
霊
山に登る本来の目的は、山へ登るというよりも、山へ入ってこもり、 山の
霊気
に
触
れることでした。
修験道
で は山にこもって
修行
することを重んじていますが、これは以前から民間で行われてい た
若者
の山入りの風習を取り入れたものだと考える学者もいます。
若者
の山入りの風習は、古くからの
山岳
信仰
と結びついたものだったのでしょう。
ところで、 山では、どんなところがこもる場所として
最適
と考えられたのでしょうか。 立山開山
縁起
では、 「
玉殿
の岩屋」で
熊
が
阿弥陀
如来
に変身しますが、このことは 「
玉殿
の岩屋」 が
神霊
の
再生
する
聖地
だと考えられていたということです。
慈興上人
は、
阿弥陀
如来
のお告げを聞いた後、
ここで
修行
したといわれています。
石窟
は、単に
雨露
をしのげるだけでなく、
聖
なる力を得られる
場所だったのです。
